セルトラリンは、米国ファイザー社によって合成されたSSRI (選択的セロトニン再取り込み阻害剤) に分類される抗うつ薬で「ジェイゾロフト」という商品名で販売されています。 現在は多くのジェネリック医薬品が市場に出回っており、その場合、商品名に「セルトラリン」とつきます。
セルトラリンには、通常の錠剤とOD錠剤があります。OD錠とは、水なしで手軽に服用できる、口の中で素早く崩壊する口腔内崩壊錠です。 普通錠とOD錠の効能・作用時間は同じで、薬価もまったく同じです。
セルトラリンは、1990 年にイギリスで初めて販売が開始された後、2006 年から日本で最初に販売されました。 当初の適応症は「うつ病」と「パニック障害」でしたが、2015年に「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」の適応症が追加されました。 パニック障害とは、突然強い不安や恐怖を感じ、めまいや発汗、動悸などの症状が現れる病気です。 心的外傷後ストレス障害とは、過去に強烈なトラウマ的な出来事を経験し、それから時間が経った後でも、そのトラウマを思い出したり悪夢を見たりする障害です。セルトラリンは、これらの症状にも有効であることが認められています。
セルトラリンの作用について
セルトラリンは、中枢神経系においてセロトニン神経に作用し、優れた抗うつ作用及び抗不安、抗パニック障害効果を発揮します。 セロトニンは、特定の神経機能を調節する神経伝達物質です。 うつ病の患者さんは、セロトニン神経の働きが低下しているため、不安になりやすいとされています。 セルトラリンは、脳内においてセロトニン レベルを増加させる効果があり、それにより症状を改善する脳内の変化を徐々に引き起こします。
セルトラリンを服用しても、うつ病の症状がすぐに良くなるわけではありませんが、少なくとも1〜3か月は服用し続ける必要があります。服用直後は脳内のセロトニン量が増加しますが、うつ症状の改善に重要なのはそれだけではなく、弱ったセロトニン神経を通常の状態まで活性化させたり、新たな神経が新生されることが大切です。そのため、症状の改善には根気よくお薬を続ける必要があります。